お香売り場に立つと、白檀、沈香、檜、金木犀……名前が並んでいても、香りを嗅がずに選ぶのは難しいものです。けれど選び方には順番があります。この記事では、香りの名前から選ぶのをいったんやめて、失敗しない3つの軸で絞り込む方法を紹介します。
同じ形をしていても、行き先はまったく違う。
この記事の要点
- お香は香りの名前ではなく、まず「いつ焚くか」という時間から決めると失敗しません。
- 時間が決まったら、ウッディ⇄フローラル・軽い⇄重いの2軸で系統を絞り込みます。
- はじめての一本には白檀・檜・ホワイトティーが向き、沈香は好みが分かれます。
- 同じ香りを最低3本焚いてから評価してください。1本目は目新しさで印象が偏るためです。
まず決めるのは「香り」ではなく「時間」
最初に決めるべきは、香りの名前ではなく「いつ焚くか」という時間です。お香選びで最も多い失敗は、「好きそうな香りの名前」で選んでしまうことだからです。香りの良し悪しは、それを焚く場面と切り離せません。夜に向く濃厚な香りを朝に焚けば重く感じますし、その逆もまた然りです。
ですから最初の質問はこうです。あなたはいつ、それを焚きますか?
| 焚きたい時間 | 求めるもの | 向く香りの方向 |
|---|---|---|
| 朝・仕事の前 | 切り替え、覚醒 | 清涼感のあるウッディ、軽い茶葉系 |
| 日中・作業中 | 集中、邪魔をしない | 主張の穏やかな香り |
| 夜・就寝前 | 沈静、ほどく | 甘みのある木、夜咲きの花 |
| 休日・くつろぎ | 気分を上げる | フローラル、明るいウッディ |
7つの香りを、2つの軸で並べる
時間が決まったら、次は香りの系統です。nagomi.の7つの香りを「ウッディ⇄フローラル」「軽い⇄重い」の2軸に置くと、それぞれの立ち位置が見えてきます。
※ nagomi. の香り設計における相対的な位置づけです。
7つの香り、早見表
| 香り | ひとことで | 向く時間 | 強さ | はじめてに |
|---|---|---|---|---|
| 白檀 | 古都に薫る、澄んだ甘み | 夜 | 中〜強 | ◎ 王道 |
| 沈香 | 深く、静かに沈む | 深夜 | 強 | △ 好みが分かれる |
| 檜 | 森林浴のような清々しさ | 朝 | 弱〜中 | ◎ 使いやすい |
| ホワイトティー | 清らかで、軽やか | 日中 | 弱 | ◎ 香りが苦手でも |
| 金木犀 | 甘ったるくない秋の余韻 | 夕方・休日 | 中 | ○ 親しみやすい |
| ジャスミン | 白い花で一日をほどく | 就寝前 | 中〜強 | ○ 花好きに |
| パロサント | 甘く、深い、聖なる木 | 仕事終わり | 中 | ○ 個性を求めるなら |
よくある3つの失敗
- 1本焚いただけで判断する — 最初の1本は目新しさで印象が偏ります。同じ香りを最低3本は焚いてから評価してください。2本目、3本目で「これは自分の香りだ」と分かることがよくあります。
- パッケージの香りで選ぶ — 箱を開けた瞬間の香りと、火を点けたときの香りは別物です。お香は燃焼中こそが本番。作り手が燃焼中の香りについて語っているかは、大きな判断材料になります。
- 部屋の広さを考えない — 6畳の部屋と20畳のリビングでは、必要な香りの強さが違います。狭い部屋で強い香りを焚くと、こもって不快になります。
「焦げ臭さ」という、見落とされがちな基準
もうひとつ、選ぶときに知っておいてほしいことがあります。お香の香りが濁って感じられる原因の多くは「焦げ」です。
お香は天然香料と基材(きざい=香料を固めて燃やすための土台になる材料)を練って乾かしたもの。燃える温度が高すぎたり、香料と基材のバランスが崩れていると、香料そのものが燃えて焦げてしまいます。本来の香りの上に焦げ臭さがかぶさり、せっかくの設計が台無しになる。とくに清涼感のある軽い香りほど、この影響が目立ちます。
nagomi.が開発時間の大半を費やしているのが、この濁りを抑える調整です。詳しくはこだわりのページで紹介しています。
川辺 一寛nagomi. 香り監修
まずは難しく考えず、自分が心地よいと感じる香りから始めてくださいとお伝えしています。
お香にはさまざまな種類や楽しみ方がありますが、最初から専門的な知識を持つ必要はありません。まずは一本焚いて、香りを感じながらゆっくり過ごしてみる。それだけで十分です。
香りを強く感じる場合は、お香を短く折る、窓を少し開けるなどして、自分に合った量に調整していただくのがおすすめです。
それでも決められないときは
ここまで読んでも迷うようでしたら、方法は2つです。
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基本的な焚き方はお香の使い方・焚き方入門、そもそもお香とは何かはインセンスとは?で解説しています。
よくある質問
- お香とアロマディフューザーはどう違う?
- ディフューザーは香りを継続的に広げ続ける道具、お香は一本が燃え尽きるまでで香りが移ろいます。始まりと終わりがあるため、時間の区切りをつくる道具として使えるのがお香の特徴です。
- お香は何本くらい持っておくといい?
- 2〜3種類あると便利です。朝用に清涼感のあるもの、夜用に落ち着いたものを揃えておくと、その日の状態に合わせて選べます。
- 賞味期限のようなものはある?
- 明確な期限はありませんが、時間とともに香りは穏やかになります。湿気を避けて冷暗所に保管し、1〜2年を目安に使い切るのが良いでしょう。
- プレゼントに贈るなら?
- 相手の好みが分からないときは、香りの主張が穏やかなものか、複数の香りが試せるセットが安全です。強い個性のある香りは、好みを知っている相手にだけ贈るのが無難です。
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