大きく開いた窓とレースカーテン。窓辺に香皿が置かれた明るい部屋

香りを足すのは、いちばん最後。

この記事の要点

  • 部屋をいい匂いにする順番は、①においの元を減らす ②空気を入れ替える ③最後に香りを足す、の3つです。
  • においの元は布もの・ゴミ・水まわり・換気扇に集まります。香りで覆っても、元は消えません。
  • 香りを足す道具は、お香・ディフューザー・キャンドル・スプレーで「香る時間」と「減り方」が違います。
  • ホテルや旅館のような清潔感に近づけたいなら、透明感のある香りを一本焚き、消えたあとの残り香で過ごします。

部屋をいい匂いにしたいとき、いちばん効くのは香りの選び方ではなく順番です。先ににおいの元を減らし、次に空気を入れ替え、最後に香りを足す。香りを売っている私たちが言うのも妙ですが、においが残ったまま香りを重ねると、二つが混ざって別のにおいになります。この記事では、その3つの順番を、今日からできる手順に分けて整理します。

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結論 — 「減らす→入れ替える→足す」の3つの順番

いい匂いの部屋は、香りの強さではなく、元のにおいの少なさで決まります。香りは「足し算」しかできないからです。

順番やることここで大事なこと
① 減らす布もの・ゴミ・水まわり・換気扇を片づけるにおいを出している「物」を減らす
② 入れ替える窓を2か所開けて風を通す空気に浮いたにおいを外へ出す
③ 足す香りを一つだけ、控えめに足す強くしない。一度に一種類

多い失敗は、③から始めることです。においが気になるほど香りを強くしたくなりますが、強いにおいと強い香りは打ち消し合いません。お香がしているのは、においの分解ではなく別の香りで覆うことです。詳しくはお香で消臭できるかにまとめています。

①においの元を減らす — 布もの・ゴミ・水まわり・換気扇

部屋のにおいは、空気そのものより物から出ています。まず、においをため込みやすい場所を順に見ていきます。

場所なぜにおうか先にすること
布ものカーテン・ラグ・ソファ・寝具は、においを長く抱える洗えるものは洗う。干して風を通す
ゴミ生ゴミや食品の包装が、においを出し続けるふたをする。こまめに出す
水まわり排水口・三角コーナーに汚れがたまる洗って乾かす
換気扇油や汚れがたまると、空気の出口がにおうフィルターを掃除・交換する

なかでも見落としやすいのが布です。においは壁より布に残りやすく、カーテンや寝具を洗うだけで部屋の印象が変わることがあります(賃貸でお香を焚くときも、布から離すのが基本です)。

逆に、生ゴミ・カビ・壁や布に染みついたタバコのにおいは、香りではどうにもなりません。物のほうを片づけるか、洗うしかありません(タバコのにおいとお香)。

年末の大掃除は、この①と②をまとめて済ませられる機会です。掃除を終えて空気を入れ替えたあとの部屋は、香りがいちばんきれいに乗ります。冬の過ごし方は冬のお香でも触れています。

②空気を入れ替えてから焚く — 換気の目安

片づけが済んだら、窓を2か所開けて風を通します。入口と出口ができると、空気に浮いたにおいが外へ抜けます。食事のあとの薄い残り香なら、10分ほどの換気で十分なことが多いです。

入れ替えが終わったら、香りを足す段階です。ここで窓を大きく開けたままにすると、香りはそのまま外へ流れます。反対に締め切ると、お香の場合は煙がこもります。目安は次のとおりです。

  • 入れ替えるとき — 窓を2か所、大きく開ける。
  • お香を焚いているあいだ — 窓を数センチだけ開けるか、換気扇を弱で回す。一度に焚くのは1本。
  • 煙の通り道に座らない — 顔の真正面に置かない。

換気・本数・距離の考え方はお香は体に悪い?の記事で詳しく説明しています。空気がゆるやかに動いているほうが、香りも澄んで感じられます。

③香りを足す道具の違い — お香・ディフューザー・キャンドル・スプレー

香りを足す道具は、どのくらいの時間香るかと、どう減っていくかで性格が分かれます。どれが正解というより、暮らし方に合うものを選びます。

道具香りの持続減り方火向く使い方
お香1回 約30分(残り香は数時間)使った分だけ減る使う香らせたい時間が決まっている
リードディフューザー置けば数週間〜数ヶ月置いている間ずっと揮発する使わない常に薄く香らせておきたい
アロマキャンドル灯している間燃焼時間で減る使う灯りと一緒に楽しみたい
ルームスプレー数分〜数十分使った分だけ減る使わないすぐに香らせたい

※ 持続や費用は製品によって幅が大きいため、一般的な傾向です。費用の比べ方はお香のコスパの比較表にまとめています。

帰宅後や来客前など、香らせたい時間がはっきりしているならお香が合います。燃え尽きるまでの約30分で部屋に香りが広がり、消えたあとも残り香が数時間続くからです。ずっと同じ濃さで香らせたいならディフューザー(お香とアロマの違い)、灯りも楽しみたいならキャンドル(お香とキャンドル、どっちがいい?)という分け方になります。

どの道具でも、香りのあるものを同じ部屋で重ねないのがコツです。二つの香りが混ざると、どちらの輪郭もぼやけます。

nagomi. お試し香(定番5種×4本)

玄関やトイレのような狭い場所は、短い一本で。

nagomi.のお試し香は、燃焼約12〜15分の短寸タイプ。白檀・沈香・檜・ホワイトティー・金木犀を4本ずつ、計20本。部屋ごとにどの香りが合うか、少しずつ確かめられます。¥750(税込)

ホテル・旅館のような香りに近づけるには

「ホテルみたいな香りの部屋にしたい」「旅館の匂いが好き」という声はよく聞きます。特定の施設の香りを再現することはできませんが、そう感じさせる部屋の条件は、だいたい三つに分けられます。

  1. 生活のにおいが少ない — ①②が済んでいること。いちばん効くのはここです。
  2. 香りが強すぎない — 焚いている最中の濃さではなく、焚き終えたあとの「残り香」の濃さで過ごす。来客前の支度と同じ考え方です(来客前の香りの支度)。
  3. 香りの方向がそろっている — 清潔感なら透明感のある香り、木の落ち着きなら木の香り、と方向を一つに決める。

nagomi.の7つの香りで言えば、清潔感の方向はホワイトティー(ジンジャーとレモンの立ち上がりから、白茶の透明感へ)、木の香りの方向は檜(リンゴとグリーンの立ち上がりから、ヒバの澄んだ木の温もりへ)です。和の落ち着いた甘さが好みなら白檀も合います。

いい匂いを長持ちさせるには

香りを長持ちさせたいときは、量を増やすより、同じ香りを続けるほうが部屋になじみます。お香は1本約30分で燃え尽きますが、残り香は数時間続き、カーテンなどの布にもほのかに移ります。毎日の一本が、少しずつ部屋の香りとして積み重なっていきます。

  • 同じ香りを、同じ時間に — 帰宅後に一本、のように決めると、その香りが「自分の部屋の香り」として覚えやすくなります。
  • 本数は増やさない — 鼻は香りに慣れるので、自分では感じにくくなります。そのときは本数を増やさず、ほかの香りと交互にしてください。
  • 寝具のすぐそばでは焚かない — 布は香りを長く抱えるので、枕元で焚くと移りすぎます。
  • 布を清潔に保つ — においをため込んだ布には、香りもきれいに乗りません。①の片づけが、結局いちばんの長持ちのコツです。

よくある失敗 — 香りが濁る4つのパターン

「焚いているのに、なぜかいい匂いにならない」というときは、たいてい次のどれかです。

  1. においが強いうちに焚く — 元のにおいと香りが混ざり、別のにおいになります。「言われれば少し気になる」くらいまで減らしてから焚きます。
  2. 香りを重ねる — お香とディフューザー、二種類のお香を同時に。どちらの輪郭もぼやけます。
  3. 窓を大きく開けたまま焚く — 香りがそのまま外へ流れます。入れ替えが済んだら、窓は数センチに。
  4. 香りで掃除の代わりをする — 毎日焚いても、においの元は減りません。香りは仕上げの役です。

場所別の一本 — 玄関・リビング・寝室・トイレ

同じ一本でも、置く場所で役割が変わります。滞在時間が短い場所ほど、短く焚けば足ります。

布のソファとローテーブルのあるリビング。テーブルの上に香皿とお香
場所焚き方のコツnagomi. では
玄関滞在が短い。半分に折って約15分で足りる金木犀
リビングエアコンの風下とカーテンのそばを避ける白檀/ホワイトティー
寝室布団に入る前に焚き終える沈香/パロサント
トイレ・洗面所換気扇を回し、短寸か半分に折って檜

場所ごとの注意はお香の置き場所に、寝室で焚くときの手順は眠る前のお香にまとめています。お香は火を使うので、どの場所でも外出時と就寝時は必ず消すこと、燃えない受け皿を使うことは共通です(お香の火の安全)。

どの香りから始めるか迷ったら、40秒の香り診断で、自分の部屋に合いそうな一本の目星をつけてみてください。

よくある質問

部屋をいい匂いにするには、何から始めればいいですか?
香りを足す前に、においの元を減らすことからです。布もの・ゴミ・水まわりを片づけ、窓を2か所開けて空気を入れ替えてから、最後に香りを足します。においが残ったまま香りを重ねると、混ざって別のにおいになることがあります。
お香を焚けば部屋のにおいは消えますか?
消えません。お香は別の香りを加えて元のにおいを気になりにくくするもので、においの元を分解するものではありません。換気と片づけで先ににおいを減らしてから焚くと、香りがきれいに感じられます。
いい匂いを長持ちさせるには?
ずっと同じ濃さで香らせたいならリードディフューザーのように置いておく道具、香りたい時間が決まっているならお香が向きます。お香は1本約30分で燃え尽きますが、残り香は数時間続きます。寝具のすぐそばで焚くと香りが移りすぎるので、少し離してください。
ホテルや旅館のような香りにするには?
生活のにおいを減らしたうえで、清潔感のある香りを「残り香」の濃さで使うのが近道です。nagomi. ではホワイトティーや檜がその方向です。焚いている最中ではなく、焚き終えた部屋で過ごすと、香りが強すぎません。
nagomi. 香り監修 川辺一寛

Supervisor

川辺 一寛nagomi. 香り監修

京都生まれ、京都育ち。株式会社若林佛具製作所にて四半世紀以上にわたり香りと向き合い、仏事コーディネーター・京仏マスターソムリエの資格を持つ。nagomi.では香りの方向づけと、淡路島の香司との焚き比べ・共同開発を担う。

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空気を入れ替えたあとの一本に。nagomi. ホワイトティー(約60本)

空気を入れ替えたあとの一本に。nagomi. ホワイトティー(約60本)

ジンジャーとレモンの立ち上がりから、白茶の透明感へ。生活の空間になじむ香り。天然香料・日本製。¥1,280(税込)

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