お香の先端にマッチの炎を当てているところ。先端がわずかに赤く色づいている

先端が赤くなるまで、あと数秒。

この記事の要点

  • 火がつかない原因でいちばん多いのは、炎を当てている時間が短く火種ができていないことです。
  • 先端全体が赤くなるまで数秒待ってから炎を離し、赤みと細い煙が残っているか確認します。
  • それでもつかないときは湿気を疑い、風通しのよい日陰で数日から一週間ほど乾かします。
  • 毎回同じ長さの燃え残りが出るなら、香立ての穴が深すぎて根元に空気が回っていません。

火をつけたのに、すぐ消えてしまう。何度やってもうまくいかない。お香でいちばん多い困りごとが、この点火のトラブルです。

原因はいくつかありますが、多い順に確認していけば、たいてい解決します。上から順にご覧ください。

原因①:火を当てている時間が短い(いちばん多い)

まずはここです。大半のケースは、これで説明がつきます。直し方は一つで、先端全体が赤くなるまで数秒待ってから炎を離すことです。

お香は、ろうそくのように炎で燃え続けるものではありません。先端に「火種」をつくり、それがゆっくり燃え進んでいく仕組みです。炎に触れてすぐ離すと、表面が黒く焦げるだけで、内部に火種ができていません。だから煙が出ず、すぐに止まります。

正しい手順はこうです。

  1. 先端に炎を当てる。
  2. 先端全体が赤くなるまで、数秒そのまま待つ。急がない。
  3. 炎を離す。このとき先端が炎を上げていたら、手で軽くあおぐか、そっと息を吹きかけて炎だけを消す
  4. 先端が赤く残り、細い煙が上がっていることを確認する。ここまで来れば成功です。

赤みがすぐ消えてしまうなら、点火不足。もう一度、今度は少し長めに当ててください。基本の手順はお香の焚き方にもまとめています。

① 炎を当てる ② 数秒、待つ ③ 赤い火種と、細い煙 ②を飛ばすと、④で消えます。

原因②:お香が湿気っている

何度やっても赤みが残らない。そんなときは湿気を疑ってください。お香は水分を吸います。梅雨どき、洗面所や台所の近くに置いていたもの、開封してから長く経ったものは、湿気を含んでいることがあります。

見分け方:手に取ったときに、いつもよりしなりがある。折ってもパキンと折れず、ぐにゃりとする。香りが弱い、または鈍い。

対処:風通しのよい日陰で、数日から一週間ほど広げて乾かします。直射日光やドライヤーの熱風は避けてください。香料が飛んでしまいます。乾けば戻ることが多いですが、カビが見えるもの、香りが明らかに変わったものは使わないでください。

予防が本筋です。袋の口を閉じ、乾燥した冷暗所へ。詳しくはお香の保管をご覧ください。

原因③:風が当たりすぎている/まったく動いていない

風は、多すぎても少なすぎても問題になります。

  • 強すぎる風 — エアコンの吹き出し口の下、扇風機の正面、開けた窓のそば。火種が冷やされて消えます。灰も飛び散ります。
  • まったくの無風 — 燃焼には酸素が要ります。締め切った狭い場所や、蓋を閉じた容器のなかでは、途中で止まることがあります。

ちょうどよいのは、直接風は当たらないが、空気はゆるやかに動いている状態です。ドアを少し開けておく程度で十分。置き場所の考え方はお香の置き場所にまとめました。

原因④:香立ての穴が深すぎて、根元まで空気が回らない

意外と気づかれないのがこれです。最後まで燃えず、根元だけが残るという症状で出ます。

香立ての穴が深いと、お香の下のほうが穴のなかに埋まります。そこは空気の通りが悪く、火が進めなくなる。燃え残りが毎回同じ長さで出るなら、まずこれを疑ってください。

対処は簡単です。

  • 深く挿しすぎない — 支えられる範囲で、できるだけ浅く。
  • 少し斜めに挿す — 穴とお香のあいだに隙間ができ、空気が通ります。
  • 寝かせて使う — 灰を敷いた香炉や、平らな受け皿に横たえる方法も有効です。
  • 香立てを変える — 穴が浅めのものや、はさむタイプへ(香立ての選び方)。

原因⑤:折った断面から火をつけようとしている

お香を半分に折って使う方は多いと思います(nagomi. のスティックは一本約30分、半分で約15分)。このとき、どちら側に火をつけるかで結果が変わります。

折った断面はざらついて、欠けやすい状態です。粉が崩れやすく、火が定着しにくいことがあります。

もとから先端だった側に火をつけてください。断面側しか残っていないときは、断面をならすように軽く指で整えてから、通常より少し長めに炎を当て、赤みが安定するまで待ちます。

原因⑥:燃焼性が安定しない製品の場合もある

ここまで試してもうまくいかないなら、お香そのものの問題という可能性があります。

お香は、香料だけでできているわけではありません。粉末にした基材を練り、成形し、乾燥させる。この配合と乾燥の具合が、燃え方を決めます。極端に安価なものや、製造から長い時間が経ったものでは、燃焼が不安定になることがあります。

ただしこれを最初に疑わないでください。順番としては最後です。①〜⑤を確かめてから考えるほうが、ずっと解決率が高いのが実情です。つくり方の背景はお香のつくり方、価格と品質の関係はお香のコスパもどうぞ。

症状別・早見表

症状疑うところやること
そもそも赤くならない点火時間/湿気数秒長く当てる。だめなら数日乾かす
数十秒で消える点火不足先端全体が赤くなるまで待ってから離す
途中で止まる風/空気の不足吹き出し口や窓辺から離す。締め切らない
毎回、根元が残る香立ての穴が深い浅く挿す・斜めに挿す・寝かせる
折った側だけつかない断面の状態もとの先端側から点火する
灰が落ちて消える置き方・振動受け皿を大きく。燃焼中は動かさない
全部試してもだめ製品の燃焼性別のロット・別の製品で確かめる

灰が途中で落ちて消えるケース

火種は生きていたのに、灰が重みで折れて落ち、そのまま止まってしまうことがあります。とくに横に長く伸びた灰が、机の振動や風で崩れたとき。

  • 受け皿を大きめに — 灰が落ちる範囲をすべて受けられる長さを。
  • 燃焼中は動かさない — 皿ごと持ち上げると、まず崩れます。
  • 灰を触らない — 途中で払うと、火種ごと落ちることがあります。

灰の扱いはお香の灰の話に詳しくまとめました。

途中で消えたお香に、もう一度火をつける

消えてしまっても、残りは問題なく使えます。捨てないでください。

  1. 消えた先端の、黒く炭化した部分を軽く払う。指で少し折って、新しい面を出してもかまいません。
  2. 灰がついていれば落とす。
  3. 通常と同じように、先端全体が赤くなるまで炎を当てる。
  4. 赤みと細い煙を確認して、置く。

残った長さのぶんだけ焚けます。意図的に途中で止める方法はお香を途中で消すをご覧ください。

なお、火はきちんとついているのに香りを感じないという場合は、原因が別のところにあります。お香が香らないときもあわせてどうぞ。どの香りが自分に合うか迷う方は、40秒の香り診断もお使いください。

よくある質問

お香に火がつかないのはなぜですか?
いちばん多いのは、火を当てている時間が短いことです。炎に触れてすぐ離すと、表面が焦げただけで内部に火種ができません。先端全体が赤くなるまで数秒待ってから、炎を離してください。それでもつかない場合は湿気を疑います。
火はついたのに、すぐ消えてしまいます。
火種ができる前に炎を離した可能性が高いです。炎を消したあと、先端が赤く残り、細い煙が上がっていることを確認してください。赤みがすぐ消えるなら点火不足です。また、香立ての穴が深すぎて根元まで空気が回らない場合や、強い風が当たる場合も途中で止まります。
湿気ったお香は使えますか?
軽い湿気なら、風通しのよい日陰で数日から一週間ほど乾かすと戻ることがあります。直射日光やドライヤーの熱風は香りを傷めるので避けてください。カビが見えるもの、香りが明らかに変わってしまったものは使わないでください。
折った断面から火をつけてもいいですか?
断面はざらついて欠けやすく、火が定着しにくいことがあります。半分に折って使う場合は、もとから先端だった側に火をつけてください。断面側しか残っていないときは、少し長めに炎を当て、赤みが安定するまで待ちます。
途中で消えたお香は、また火をつけられますか?
つけられます。まず消えた先端の炭化した部分を軽く払うか、指で少し折って新しい面を出します。そのうえで、通常と同じように先端が赤くなるまで炎を当ててください。残った長さのぶんだけ焚けます。
nagomi. 香り監修 川辺一寛

Supervisor

川辺 一寛nagomi. 香り監修

京都生まれ、京都育ち。株式会社若林佛具製作所にて四半世紀以上にわたり香りと向き合い、仏事コーディネーター・京仏マスターソムリエの資格を持つ。nagomi.では香りの方向づけと、淡路島の香司との焚き比べ・共同開発を担う。

5種の香りを少しずつ。nagomi. お試し香(5種×4本)

まずは一本、焚いてみる。nagomi. お試し香(5種×4本)

通常の半分の短寸で、一本 約12〜15分。5種類の香りを少しずつ試せます。天然香料・日本製。¥750(税込)

LINE友だち追加で、毎月1回お得な割引コードを発行します。新作・読みものの更新もお届けします。 友だち追加
Scent Finder

自分に合う香りが、まだ分からない方へ。

4つの質問に答えるだけ、所要40秒。7つの香りからあなたの一本を診断します。

香り診断をはじめる