白檀の木片と、香りを聞き比べるための小さな器

名前は三つ。中身は二つ。混同の理由は、残り香が似ているから。

この記事の要点

  • 白檀(びゃくだん)とサンダルウッドは同じもので、サンダルウッドは白檀の英名です。
  • ムスク(麝香)はジャコウジカ由来の動物性香料で、白檀とはまったくの別物です。
  • 現在「ムスク」として流通している香りの大半は、ワシントン条約の保護により合成香料です。
  • 両者が混同されるのは、どちらも甘くやわらかい残り香をベースノートとして持つからです。

「白檀とサンダルウッドって同じ?」「ムスクとはどう違うの?」——香りの名前は、呼び方が入り乱れていて分かりにくいものです。結論から言うと、白檀とサンダルウッドは同じもの。ムスクだけがまったくの別物です。この記事では、白檀の読み方・別名から、ムスクとの違い、混同されやすい理由までをまとめて整理します。

白檀の読み方と別名 — サンダルウッドは英語名

白檀は「びゃくだん」と読みます。ビャクダン科の常緑樹で、香るのは幹の中心部(心材)。英語では sandalwood(サンダルウッド)と呼ばれ、これは別の香りではなく、白檀の英名です。

つまり、お香の売り場で「白檀」、香水やアロマの売り場で「サンダルウッド」と書かれていても、指しているのは同じ植物由来の香りです。呼び方が業界によって違うだけ、と考えて差し支えありません。

別名・呼び名も整理しておきましょう。産地による呼び分けとして、インド・マイソール地方産の上質なものは「老山白檀(ろうざんびゃくだん)」と呼ばれます。また、古い文献では白檀が「栴檀(せんだん)」と呼ばれることがあります。「栴檀は双葉より芳し」のことわざの栴檀は白檀のこととされていますが、現代の植物名のセンダンはまったく別の木なので、この点だけ注意が必要です(詳しくは白檀とは)。

ムスクは「木」ですらない — 動物由来の香料

一方のムスク(musk)は、木の香りではありません。本来はジャコウジカ(麝香鹿)の雄の分泌物から採られた動物性香料で、日本語では「麝香(じゃこう)」と呼ばれてきました。

ただし、ジャコウジカは現在ワシントン条約で保護されており、天然のムスクが使われることはほとんどありません。現在「ムスク」と呼ばれる香りの大半は合成香料です。「ホワイトムスク」など、清潔感のある甘い香りとして親しまれているのは、この合成ムスクの系統です。

香料の由来 植物性 動物性 白檀(びゃくだん) =英名サンダルウッド。同じもの ムスク(麝香) ジャコウジカ由来。現在は合成が主流

三つの名前を、一枚の表で比べる

白檀サンダルウッドムスク
正体ビャクダン科の木の心材白檀の英名(同じもの)本来はジャコウジカ由来。現在は合成が主流
由来植物性植物性動物性(→合成)
香りの系統甘くやわらかいウッディ同じ肌に寄り添うような甘さ。石けんの清潔感
主な使われ方お香・数珠・扇子など香水・アロマ・化粧品の表記香水・柔軟剤・ボディソープ
常温での香り木自体がほのかに香る同じ製品として調香されて香る

なぜ混同されるのか — 「甘くやわらかい残り香」が共通するから

白檀とムスクが混同されるのは、最後に残る香りの印象が似ているからです。由来はまったく違うのに、どちらも、ふんわりと甘く、肌になじむようなやわらかい残り香を持つのです。

香水の世界では、白檀(サンダルウッド)もムスクも、香りの土台となる「ベースノート」としてよく使われます。最後まで残る部分の印象が似ているため、「白檀っぽい=ムスクっぽい」という感覚が生まれやすいのだと考えられます。実際、白檀とムスクを組み合わせた製品も多く、境界はますます曖昧に感じられます。

見分けたいときは、こう覚えてください。木の温かみ・お寺を思わせる静けさを感じたら白檀系。石けんのような清潔な甘さが肌に残る感じならムスク系。完璧な区別ではありませんが、実用には十分です。

お香で楽しむなら、まず白檀から

お香の世界では、ムスクよりも白檀が圧倒的な定番です。日本人にとってはお寺や祖父母の家の記憶と結びついた、どこか懐かしい香りでもあります(お香の香りの系統はお香の種類で整理しています)。

nagomi. の白檀は、老山白檀の甘くやわらかな香りを軸にした調香です。京都で1830年から香りと向き合ってきた私たちが、淡路島の香司と焚き比べを重ね、燃焼中の香りが濁らないよう仕上げました。1本の燃焼時間は約30分。1箱約60本入りで¥999、1本あたり約17円です。

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よくある質問

白檀とサンダルウッドは同じものですか?
同じものです。白檀の英名がサンダルウッド(sandalwood)で、どちらもビャクダン科の木の心材から採れる香りを指します。お香では白檀、香水やアロマではサンダルウッドと呼ばれることが多いだけの違いです。
白檀とムスクの違いは何ですか?
白檀は木から採れる植物性の香料、ムスクは本来ジャコウジカ由来の動物性香料で、まったく別のものです。現在のムスクは合成香料が主流です。どちらも甘くやわらかい残り香を持つため、印象が似て混同されやすいと考えられます。
白檀の読み方と別名を教えてください。
白檀は「びゃくだん」と読みます。英名はサンダルウッドで、産地から老山白檀(インド・マイソール産)などの呼び名もあります。栴檀(せんだん)と呼ばれることがありますが、現代の植物名のセンダンは別の木なので注意が必要です。
ムスクは今もジャコウジカから採っているのですか?
ジャコウジカはワシントン条約で保護されており、現在使われているムスクの香りはほとんどが合成香料です。ホワイトムスクなどの名前で親しまれている香りも合成ムスクの系統です。
白檀のお香はどんな人に向きますか?
甘くやわらかい木の香りが好きな方、お寺を思わせる落ち着いた香りが好きな方に向きます。お香の定番中の定番なので、初めての一本としてもおすすめです。
nagomi. 香り監修 川辺一寛

Supervisor

川辺 一寛nagomi. 香り監修

京都生まれ、京都育ち。株式会社若林佛具製作所にて四半世紀以上にわたり香りと向き合い、仏事コーディネーター・京仏マスターソムリエの資格を持つ。nagomi.では香りの方向づけと、淡路島の香司との焚き比べ・共同開発を担う。

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